この記事を読んで、似たようなことを考えていたので、共有します。
1人1台パソコンやタブレットが存在するようになってから、生徒の行動として多くなったのが、とりあえず言いたいことをAI翻訳にかけるということです。
日本全国の教室内で、授業中に、宿題に、こそこそAI翻訳をかけている生徒もいるかもしれませんね。
(AI翻訳とはGoogle翻訳やDeepLなどを指す)
まず先に言いたいことがあって、それをうまく英語にできないと感じた時、AI翻訳ツールを使うことが多いようです。
(まず先に言いたいことが存在しなくては、コミュニケーションの授業としては成立しないだろう。)
(読解・聴解の時に使っている生徒もいると聞くが、今回は話す・書くの時に限定する。)
教師の中には、AI翻訳ツールは、生徒に「使わせたくないもの」と考えている場合もあります。
この思考は変えるべきだと思います。堂々と使ってもいいよう、効果的な学習の道具の一つとして、授業中に導入させたいです。
(この辺りは昔、電子辞書が悪で紙辞書が正義の価値観があった雰囲気と似てますよね。)
さて、生徒がAI翻訳を利用している様子を見ると、次のようなダメポイントが存在するようです。
①思いついた日本語をそのまま翻訳機にかける
この場合、うまく翻訳されて生徒が言いたいことが伝わる自然な文章だと良いが、
AI翻訳は完璧ではないので、そうはなっていない場合が多い。
②翻訳機で示された英文をそのまま使う
翻訳機は語彙や文法の制限がないので、その生徒の英語の習熟レベルに応じた英文は作られない。
したがって、生徒は一つ一つの意味をきちんと確認しないまま使うことが多い。
また、発音がAI翻訳上ではきちんと確認できないので、音声面が常に不安定なまま使用することになる。
①について、教師がやれることはどんなことだろうかと考えた時、2つあると思われます。
・まず、思いついた日本語をよりシンプルな日本語に変えて生徒にやって見せる。
教室にはいろんな生徒がいるが、思考が深い生徒は、使う日本語も構造がやや複雑な気がする。
この場合、そのやや複雑な日本語を翻訳機にかけても、示される英文が生徒の本当に言いたいこと表す表現にならないことが多い。
「あなたは何が言いたいのか」を明確にすることで日本語をシンプルにさせて「翻訳機向け」の日本語にする。
・そして、今度は逆で、思いついた日本語をより丁寧に主語や目的語を明確にし、日本語特有の曖昧な表現を変える、そしてそれを生徒にやって見せること。
生徒が思いついた日本語は、基本的に主語が抜けがちである。それをそのまま翻訳にかけると、不自然な日本語が出てくることがある。
(そもそも、日本語の主語に鈍感な生徒が一定数いる。「父に手紙が届く」の主語を答えられた中1は55%ほどという。*1)
また、生徒は思いついた日本語をそのまま書くので、文字通りに読んでスッと理解できない日本語を書きがちです。
(これは例えば、「父と私は、急いで海外にいく叔父を見送りに行った」と「父と私は急いで、海外にいく叔父を見送りに行った」のどっちを言いたいのかわからない文、つまり読点なしで書いてくるようなイメージである)
②について、まずは出来上がった英文の中で使われている単語などを生徒に辞書で調べさせたい。また、その時同時に発音も確認させたい。
問題は、構造が複雑になった文ができてしまった時で、その生徒の英語レベルにしては難しすぎる場合である。
それに気づいても生徒は易しい英語に直せるわけはないので、未然に防ぐ方法を教えるのが良いのではと思う。
それは、結局のところ、先ほども述べたが、シンプルな日本語で翻訳機にかけることである。
「翻訳機向け」の日本語を考えることで一手間増えるが、訳のわからない英語が提示されるよりも有効である。
(AIなのだから、語彙レベルや文法項目をある程度制限できるものがあってもいいような気がするが、そういうのはどこかにないのだろうか?)
どこかに「翻訳機向け」の日本語を書くための本ないかなと思って探してみたところ、これが参考になりそうでした。
まだ手にとってませんが、目次を見ると期待できそうです。
目次
1.必ず主語を書く
2.目的語をちゃんと書く
3.1文を短く書く
4.結論を先に言う
5.能動態で書く
など・・・
次回、時間があれば、読解時の翻訳ツールの使い方、ダメポイント対処法を書いていこうと思います。
*1 日本標準 国語と算数の基礎基本の習得状況に関する調査