エレファントの英語教育実践道

私の英語教育と,これからの英語教育について。

実は大人も楽しめる中学英語問題集ができました。

最近、英語指導で考え直しことがある。

それは、語彙指導である。

考え直すきっかけとなったのは、若林俊輔先生のこの本。

「英語教育の基礎について」という章で、先生は英語という外国語の難しさについて次の5つがあると述べている。それは、

1. 発音が難しい

2. 文字が難しい

3. 文法が難しい

4. 単語が難しい

5. 訳が難しい

で、要するに英語は全てが難しいのだが、かといって今までなされてきた指導は、結局は「覚えよ」という指導であった。

そして英語は単なる暗記科目となり、なんらの知的好奇心も無縁の単なる暗記を要する英語教育になったのだという。

 

「英語教室には、生徒たちがすでに習い覚えた知識・技能を手がかりにして、そこから一歩前進するという体制がない。単語一つ一つにしても、常に未知の世界だったり、「コップ」とか「本」とか「箱」とか「部屋」といったなんら知的興奮も覚えない味けないものであったりする。英語教室では、彼らは常に、彼らの知らない世界に放り出され続ける。あるいは無感情の国に住まわされる。これでは、生徒たちが、英語に対して知的好奇心を持つことはできない。」

と、述べている。若林先生の文章表現、好きだなあ〜。この「無感情の国」って表現、初めて出会いました。驚きや感動、楽しさや喜びのある教室にしたいですね。

 

そしてこれに続けて氏は次のようにのべます。

「中学校を終えても、高校を卒業しても、そして大学まで英語を学習しても日本人は英語が話せないといわれる。それは英語力がないからである、と言われる。しかし、その「英語力」が定義されたことはない。(中略)話せないのはなぜか。それは多くの場合、話す内容がないからである。正確に言えば、話すべき内容についての語彙が不足しているからである。さらに正確に言えば、英語を話そうと思うと、あの英語教室の雰囲気が身を包んでしまうからである。音楽の話をしようとしても、あの英語教室で学んだところの、I like music very much. とか My hobby is listening to music. くらいしか出てこない。スポーツの話をしようにも、オリンピック競技種目の名前さえも言えない。」

実は自分は新課程の検定教科書や、中学の英語問題集に携わっている中で、語彙数の増加について疑問を持っていました。「こんなに多くなって大丈夫なん?」というのが素直な感想。本音です。・・・すみません、私が間違ってました。若林先生、1991年にこの文章書いたって本当なのかと思うくらい、今でも刺さる内容です。題材が魅力的になるには語彙数の増加はやむえないことだったのかも知れませんね。ますます語彙指導の重要性を強く感じています。

 

ということで、今年、私が著者の一人の中学英語問題集が完成しました。(ということで、とは?)

新Aクラス中学英語問題集2年(4訂版) (新Aクラスシリーズ)

新Aクラス中学英語問題集3年(4訂版) (新Aクラスシリーズ)

 

この本のまえがきにも書いてありますが、語彙力をアップしてもらうため、各ページで出てくる重要な単語や表現が各ページの下部にまとまっています。

問題冊子はA4より一回り小さいです。紙面がもともとすくないのに、こんな感じです。これ、各ページにこんくらいはあります。画像は中3の問題集からとってきましたが、中1から中3までやったら、どんだけ語彙力がつくのか・・・と思っております。(実は中1のほうがこの部分はもっと大きいのです。)

 

中学生向けに作成されたものですが、中学生でも普通の問題集では物足りない生徒向け、大人も学びなおしなどにもってこいと思います。

 

全国の書店に並んでますが、表紙がぱっと見、今風でないので目立ちません。

どうかひと目みてご感想いただければ幸いです。