スピーキングの「やりとり」というと、みなさんはパフォーマンステストでどのようなことをやっていますか。
平成30年告示の学習指導要領によると、英語コミュニケーションⅠの内容、話すこと[やりとり]は、
エ 身近な出来事や家庭生活などの日常的な話題について、使用する語句や文、やり取りの具体的な進め方が十分に示される状況で、情報や考え、気持ちなどを即興で話して伝え合う活動。また、やり取りした内容を整理して発表したり、文章を書いたりする活動。
と、あります。
ここで大事なのは次の2つだと思っています。
1.情報や考え、気持ちなどを 話して伝え合う
2.即興で 話して伝え合う
ということです。話すだけではなく、話して伝え合うので、双方向のコミュニケーションになります。また、即興で、というのがポイントになるかと思います。
ところが!この「やりとり」を評価しようとしたらかなり大変なことなのです!
今回は今年の8月に国研より公開された高等学校編「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料を読んで、「これでいいのか?」と思ったことについて書いていきます。
高等学校編「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料についてはこちらからダウンロードをお願いします。(リンク先のページの中ほどに高等学校編の英語があります。)
指導資料・事例集:国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research
この資料内の、事例3「複数単元を通した[やりとり]における知識・技能、思考・判断・表現の評価」についてです。68ページ目からになります。
ここで紹介されているパフォーマンステストなのですが、次のような感じです。2つあります。
1.録音用機材(タブレット等)を個々の生徒に準備する。録音用機材の操作確認をした後、次のような指示を伝え、リスニング用音声(ケンの意見)流す。
指示:You will hear Ken's opinion about his school's lunch break. Listen carefully and record your own opinion for or against it with a reason after the beep. You have 30 seconds to record your answer.
ケンの意見:I think our school should allow students to play video games during our lunch break. What do you think? ( beep )
2.配布用カードと録音用機材(タブレット等)を準備し、テスト前に配布する。採点基準を説明し、録音用の器材の操作を確認した後、次のような指示を口頭で伝え、リスニング用音声(ケンの意見)を流す。
指示:(省略、資料をみてください。)
ケンの意見:(省略、資料参照)
配布用カード:(省略、資料参照)
このテストを新科目 「論理・表現」でのパフォーマンステストの一例として掲載されています。
まずよくわからないのが、話して伝え合っていないということ。タブレットに向かって話すことが伝えあうことになるのかとても疑問です。
実際に人に話すのか、モニターに向かって話すのかは、気持ちの上でも、パフォーマンスの質も違うのではないかと。
しかも!
パフォーマンステストの2で例として示されていたものは、2分間の準備時間があります。それって即興なの?と疑問に思います。
もちろん、論理・表現は英語コミュニケーションⅠの内容と違い、学習指導要領上の説明には「即興」という文字はありません。
とはいっても、2分も待って返答があるコミュニケーションは本当にやりとりなのか、ということを思いました。
評価にICTを活用した例を載せたかったという、別の理由があるのかも?と思っています。
個人的には
英語のスピーキングテスト(やりとり)は、
・相手意識がある(相手によって話す内容、話し方が変わる)
・会話が双方向である(一問一答ではなく、展開があり、継続性がある)
この2つを大事にしようと思っています。