現在、コミュニケーション重視の英語教育において、「文法指導は必要か否か」という議論は長く続いた議論のテーマの一つです。
人それぞれ、「文法」という言葉の指すものが違うので、人によっては「あまり意味のない文法用語や説明」を指し、またある人にとっては「文を理解する上で、重要不可欠な文構造の知識」などを指すと思われます。
本書は、後者の立場をとって、いわゆる5文型から発展したチャンク文型論を説明したものになります。
そもそも、学習指導要領でも、「文型」という言葉はなくなり、文構造という言葉に入れ替わったのは、文の分類をするという指導をするのではなく、文の構造に注目した指導をしてほしい旨が示されています。
本書でも特に重要なのは、学問的整合性よりも、学習効果を優先するという考え方。
学習者の発達段階に応じた、必要最低限で、非常にシンプルな説明を持って文構造を理解させるという指導を提案しているという点。
このチャンク文型論とは、筆者がはしがきで次のように述べています。
チャンク文型論とは、文型の構成要素をチャンク、いわば数学の方程式で使用される変数(X)として扱うことを意図しています。
このチャンク文型論では、小学生(高学年)でも、もちろん高校生でも、いわゆる5文型で説明に使われるS、V、C、Oなどの記号や、主語、目的語、補語などの用語を使わずに
文の理解のみならず、産出までをサポートできる指導法の提案となっています。
従来の文型指導は、文型の英語学的説明、理論的な説明に偏ってたわけですが、この指導法により、学習者にとってわかりやすい説明がうまくできるようになるのではないでしょうか。
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